真剣に音作りをします

ライブハウスのPAさんの音作りって、様々だと思います。
音のいいハコ、そうでもないハコ…。

言ってしまえば、結構な数のハコが、音がいいとは思えないのです。
これは、自分がライブを観に行ったり、演奏したりして、消費者として感じていること。

なんか、「あの店音がいいよね」って言われてるハコでも、仕事でPAとしてやっているワシ的には、「???」ってなる。
これ、ライバルをディスりたいんじゃないんですよ。
結構マジで、そう思ってるんです。

人間関係で評価を変えちゃう、っての、結構あるじゃないですか。
そのハコの経営者とかスタッフと仲良くなると、実質を無視して、じゃないけど、なんか甘く評価する様になるとか…(笑)。

それが起きてると思うんですよ…正直。

そのハコで友達がよくライブやるからよく観に行く、よく通って勝手を知ってるから親近感が湧き、いい評価をしたくなる、とかね。

ワシの周りの人たちに大人気のハコがあるんですが、そこでライブする理由がまぁ様々だとは思うけど、「音がいい」なんて意見も聞きました。
だが、ワシが何回か足を運んで聴いてる分には、まず音がいいなんてことはあり得ないんですよ。

味覚と一緒で、耳なんてみんなそんなに良くないですよね。
美味しいラーメン、と言われてるところって、実際に美味しいんじゃなくて、美味しいって言われてるから美味しいと思ってる、ってことよくありますね。
ブラインドテストしたら、味の違いなんてわからん人の方がほとんどです。

耳もそう。
ブランドテストしたら、ほとんどの人が音の違いなんてわかってないのだろうなぁと、よく感じます。

 

何を言ってるのか、というと、ボーカルが聞こえない、とか、ギターソロが聞こえない、とか、特定の帯域の音がデカすぎて全体的に聞き取れない、っていうことが、あまりにも多いのですよ。

あの老舗の有名店も、あのなかなか出演できない人気店も、結構そんな感じ。
自分の感覚で価値を判断せずに、老舗で有名だから、とか、人気だから、っていう周りの評価で自分の評価も変わってしまっているんでしょうね…残念な話だ。

 

そういう状況は全く納得がいかないので、うちの店では音作りには本当に真摯に向き合っているんです。
ブッキングの時はリハは1バンド20分しか時間を裂けませんが、その20分に入魂しています!
そして、20分では終わらずにリハが押すこともしばしば…。
正直、リハはものすごく疲れます。
もう、闘い、ですわ…(笑)。

うちでライブをやった人からは「ここまでやってくれるライブハウスは他にはない」って、感謝されることもあります。
が、逆に「いちいちウッセーな」てな感じの人もいます。
リハを真剣にやることが嬉しい人がいる反面、好き放題やりたいだけだからいちいち細かいことを言われたくない、って人がいるんですね。

 

ワシの考えでは、まずボーカルがちゃんと聞こえるって事が大事かと。
楽器隊が爆音過ぎてボーカルが聞こえないなんて、そんなライブ、どうですか?
もちろん、それがいいっていう人たちも、いるんだとは思うけど…。
ジャンルの問題もあるしね。

ワシは、ボーカルがいる場合はボーカルがメインだと思っているので、それがちゃんと聞こえない状況なんてあり得ないって思ってます。

ボーカルが聞こえない理由は、ボーカルさんの声量が足りない、ドラムかギターのどちらか、もしくはその両方が爆音で、音量を下げる様にお願いしても応じてくれない、にほぼ集約されます。

特定楽器の爆音、要らないっす。
全体のバランスで、考えてくれればいいのに…。

だから出演者にお願いして、そこら辺を結構細かく調整するんですよ。
その時のやりとりで、「ウッセーな、俺は爆音出したいだけなんだ、余計な注文つけるな」って思う人がいるみたいで、結構大変…。

 

あとは、ギターソロがちゃんと聞こえる様に、ってのも、ものすごく大事だと思ってます。
ギターソロ、せっかくピロピロ上手に弾いてるのに、全く何やってるかわからないくらい音が埋もれてるハコ、かなりあります。
というか、ギターソロをないがしろにし過ぎ。

あれって、リハの時にちゃんと調整しないと、そうなっちゃう。

結構ギタリストさんの音作りなんかも関係していて、抜けの悪い音作りだと、もうソロなんて全く聞こえないんですよ。
そういう場合は、歪みを抑えてもらったり、イコライジングで中域をあげてもらったりしないといけないのに、リハの時にPAさんは何も言わないんでしょうね…。
多分、ワシ以外のPAさんでそこら辺のことまでコミットしている人は少ないんだろうなぁ、ギターソロの聞こえないハコがかなり多いです。

で、ギターソロが始まったらPAで音量を上げてあげる、なんてのも、かなり適当なんだろうなぁと…。
確かにフェーダーは上げました、でも聞こえてきません、でもそんなこたぁ知ったこっちゃないです、てな感じ。

うちでライブやってくれるギタリストさんで、ギターソロの時に音量を上げない人がいます。
「いつもPAさんにお任せしているんで」っておっしゃるが、任せてもきっとちゃんとやってくれてないですよ…。

もちろんそのギタリストさんの音作りが上手い場合は、フェーダーを上げるだけでギターソロが聞こえる様になるんですよ。
歪ませすぎず、中高域がしっかりと出ている場合は、卓をいじっていて本当にコントロールし易い。

でもね、ほとんどのギタリストさんが、音作りがそんなに上手じゃないんです、素人さんだし…。
歪ませすぎて音が潰れてたり、ドンシャリ好みで中域がスッポリとなかったり、ってなことが結構あります。
ZOOMのマルチ使ってる人とか、BOSSのMEなんとかの古めのを使ってる人とかは、ギターソロが聞こえないことが多いです。

そういう場合はギタリストさん自身に、ギターソロのところでしっかりと音量をあげてもらうとか、音作りの変更をお願いしたりとか、しないといけないんですよ。
うちのライブだと、そこまでやるんです。

他のハコのPAさんって、そういうこと全く教えてくれないらしいですね。
アドバイスなんてしてくれない、どうすれば正解かを教えてくれない、だからいつまでもわからないまま今日も明日も聞こえないギターソロをピロピロ弾いている…。

音抜け云々はPAさんの立場だとよくわかるし、教えてあげれば一発改善の場合もあるし、その日がどうにもならなくても、そのギタリストさんの今後のライブで役立つのにね。
なんにも、言ってあげないんだね…。

 

そこいくと、うちのライブは、真摯に音作りに向き合ってます。
これは、いい音を作って出演者のパフォーマンスをできる限り発揮させる、ってのがワシの仕事だと思ってるから。
もちろん出演者の上手い下手はありますよ。
でも、仮に下手であっても、できる限りのことはリハで調整するんです。
手ぇなんか抜いちゃ、ダメなんですよ、お互いに。

ハコには実績やブランドもあるでしょう、PAさんにも立派な経歴や肩書きがある人もいるでしょう。
でも、あなたのライブの時にちゃんと真摯に音作りをしてくれているとは、限らないんですよ。
PAさんの実力がすごくても、じゃああなたのライブの時に最大限の仕事をしてくれているかと言ったら、そうじゃないことの方が多いのではないかと。

有名アーティストさんの時とか、ワンマンの時とかはちゃんと仕事しますけどねー、みたいな。

それが、ボーカルが聞こえなかったり、ギターソロが聞こえなかったり、っていう結果となって現れている気がします。

あ、勘違いしないで欲しいんですが、ワシがPAさんとして実力がすごいということじゃないんですよ。
実力がすごくなくても、手を抜かないし、出演者のパフォーマンスを発揮させるべく最大限のことをやってる、ってだけのことです。

それをどう思うかは、人それぞれってことで。

 

せっかくライブをやるんだったら、しっかりとかっこよく演奏を観て欲しい、聴いて欲しいじゃないですか。
だから、そこをちゃんとやってくれるハコを選んだ方がいいとは思います、個人的には。
もちろん価値観はそれぞれなので、そこが重要ではない人もたくさんいるんでしょうが…。

あ、ちなみに、音のいいハコもたくさんあるって思ってますよ。
なんか論調的に、他のライブハウスがほぼダメみたいな感じに受け止められそうですが(笑)、そんなに我田引水、自画自賛ではないです。

池袋のアダム行った時は、音の良さに感動したなぁ。
ブッキングで、あのガチな感じ、すごい!!
川崎のセルビアンナイトも、いいなぁって思ったし。

ここに挙げなくても、音がいいって思うハコはたくさんあります。
コロナの影響で無くなっちゃった渋谷のあそこも、いい音してたなぁ…。
数年前にライブやったあそこも…ってね(笑)。