ギターソロの聞こえないライブ
ギターソロが聞こえない
よくあります、ギターソロの聞こえないライブ…。
これって、どう思いますか?
ギターソロ、聞こえなくていいんですか?
もしあなたがギタリストであり、ライブをする時に、せっかく見せ所のギターソロでそれがちゃんと客席で聞こえていないとしたら、ガッカリじゃないですか?
また、ご自身でライブハウスに観に行って、ギターソロがちゃんと聞こえないってことありませんか?
私はよく、ギターソロがちゃんと聞こえないライブに遭遇しますよ!
では、なぜギターソロが聞こえないのか…。
ギターソロがちゃんと聞こえない理由は、いくつかあります。
ギターソロが聞こえない理由
まず、ギタリストがちゃんと音量差をつけていない場合。
私がPAオペレーターをしていてとてもよくあるケースが、ギタリストがギターソロの時に音量を上げても、それが全く足りていない場合です。
ご本人は「音量を上げている」と言います。
が、ほんのちょっとしか上がっていないため、ミキサーの方で一生懸命上げても、音量としては全く不足してしまうんです。
もう、音量が倍くらい違うのではないか、くらいに思い切って音量差をつけて欲しいんです。
まだ音量差が足りないくらいなら、いいんです。
人によっては、ギターソロの時は歪みを強くする、という設定にしているため、逆に音が引っ込んでしまうんです。
歪みって、強くすると音抜けが悪くなるんですよ、知ってましたか?
歪むと、音が引っ込んでしまって、聞こえにくくなるんです。
だから、歪みを強くするなら、同時に音量もものすごく上げないといけないんです。
そして、ブースターを歪みの前につないで、それを踏んで歪みを強くできるけど音量は全く一緒、っていう人も非常に多いです。
意味が、わかってないんですね。
ブースターがその位置でどの様に作用するかは、ちゃんと理解しておいて欲しいところです。
というか、歪みの仕組み自体を理解する必要がありますね。
そうすれば、ブースターをどこにつなげばいいかが、自ずとわかるはずです。
ギターのボリュームでは音量は変えられない
あとは、それと同じ現象が、ギターについているボリュームで調整しようとしている人でも起きています。
歪みをつないでいる場合は、歪みの量はギター側のボリュームで調整できますが、音量は調整できないことが多いです。
別の記事でも書きましたが、昔のあまり歪みの強くない時代のギターヒーローが、ギターのボリュームで音量を調整しているといった記事を音楽雑誌で読んで、それをそのままやっているのでしょう。
でもこれは、昔の機材のレベルならできる、という話です。
もしくは、歪ませていない音の設定ならそれもできる、という話なんです。
現代のきっちり歪む機材だと、ギターのボリュームでは音量は調整できません。
音量を変えたいのならば、ブースターを歪みの後につなぐか、ボリュームペダルを使うか(これも歪みの後に繋がないといけない)、マルチエフェクターのパッチを切り替えるか、アンプのチャンネルを切り替えるか、どれかをして下さい。
そこら辺がわかっていないと、音量の調整ができません。
論外の人
そして、最も問題なのが、自分で全く音量調節をしようとしていない人です。
確かにマイクでアンプの音を拾って、PAオペレーターはギタソロの時に音量を調整してくれるでしょう。
が、マイクで拾った音だけでは、音量差をつけるのはなかなか難しいのです。
結果、ちょっと音量は上がったけど、ギターソロはいまいち聞こえてこない、ということになります。
そして原則、自分で音量調整をしなくていいのは、ちゃんとローディーの付いているプロだけだと思って下さい。
ローディーがいれば、ローディーが見えないところでちゃんと音量をあげてくれたりしていますが、素人のあなたにはローディーはいないはずです。
自分で音量を変えないと、誰も変えてくれないんですよ。
何とかブラックモアさんとか、何とかシェンカーさんのコンサートを観に行ったら、ギターソロの時に自分では音量をあげていなかった、だから自分もギターソロの時には自分で音量をあげなくてもいいんだ、は大間違いです。
彼らにはローディーがいて、観客からは見えないところでちゃんと音量を変えているのです。
音抜けを考えよう
あとは、音作りのせいでギターソロが聞こえない、ということがあります。
別の記事でも書いているんですが、ドンシャリ系の音だとギターソロが聞こえないことがあります。
この記事内でも、歪みが強いと音が引っ込む旨を書いていますね。
そう、歪ませすぎは、音が聞こえなくなる原因なんです。
歪みが強い方が、誤魔化しが効くというのはありますね。
だから強く歪ませたい、という人は多いと思います。
でも、せっかくのギターソロは、あまり歪んでいると聞こえにくいんです。
先に述べたドンシャリ系の音、って、わかりますか?
強く歪ませた上に、イコライジングカーブがV字になる様な設定にすることで得られる音のことです。
BOSSのデイストーションエフェクターHM-2とか、あとはMarshallのJCM900とかの音ですね。
低域がドーン、高域がシャリシャリ、中域がナシ、です。
これらは80〜90年代のメタルとかで、かなり流行りました。
現在だと、安めの古いマルチエフェクターで、こういう音を好んで家で使っている人が多いと思います。
家で弾いている時はドンシャリは気持ちいいので(笑)。
でもこのドンシャリは、家では使えても、ライブハウスでは使い物にならないです。
もちろんバッキングならこれでも構いませんが、ギターソロはドンシャリだと聞こえてこないんです。
めちゃくちゃ音抜けが悪いんです。
ギターソロが聞こえるようにするためには、ドンシャリの音を使うのはやめましょう。
中域の出ている音は良い
逆に、どんな音ならギターソロが聞こえるか、というのに興味がありますか?
ないかも知れませんが、述べておきます(笑)。
ギター音の中高域がきっちり出ている音作りだと、ギターソロがよく聞こえるんです。
低音は絞って下さい。
中域はしっかり上げて下さい。
耳に認識され易い音の帯域というのがあるんです。
これが、中高域。
よく、1kHzあたりの音、とか言われています。
この中高域がしっかり出ている音作りだと、実はギタリストさん自身が音量調節をしなくても、アンプからマイクで拾った音をPA卓で調整するだけで、ギターソロがしっかり聞こえることがあるんです。
音作りがしっかりわかっている人なら、自分では全く音量調整しないのも、アリといえばアリです。
ただ、アリではありますが、まぁ、みなさんちゃんと自分で音量を変えていただけるのがいいですね。